会話が楽しい恋愛映画「ビフォア・ミッドナイト」を観てきた!3部作の感想

今度ウィーンに旅行へ行くので、その予習として何かウィーンを舞台にした映画は無いかなーなんて探して見つけたのが「Before Sunrise」でした。
ふむふむ、あらすじを読むと列車で出会った男女がウィーンの街を夜明けまでふたりで散策する映画…これは街の様子や雰囲気を予習するのにぴったりじゃないか!
さっそくTSUTAYAへ行ってみたところ、続編もあるっぽい。せっかくなので続編「Before Sunset」も借りてみました。ま、旅行の予習が目的だし、さして期待もせずに観てみたんですが…。
これがとても僕のツボにはまってしまい、勢いAmazonでポチってしまいました。おまけに、タイミング良く3作目「Before Midnight」が公開されていたのでそれも観に行ってしまいました。
以下若干ネタバレを含みますのでおきをつけください。

止まらぬ会話劇

この映画は、全編通してジェシー(イーサン・ホーク)とセリーヌ (ジュリー・デルピー)の会話が延々と続く演出となっています。お互いを全く知らない男女が、お互いのことを知ろうと意味のあること意味のないこと、ジョークから思い出まで多種多様な話題が展開されます。

その会話の内容も興味深いし、テンポも聞いていて心地良いのですが、個人的にすごく良いなと思ったところはお喋りをしながらもお互いに惹かれているのがわかる主演ふたりの演技です。
ふたりの距離感がほんと初々しくて観ているこっちがにやにやしてしまいます。お喋りしながらも視線が、表情が恋しているのがわかってしまいます。羨ましい初々しさ。いいなー。
そしてロマンチックな一夜は終わり、一作目では朝にふたりが別れるところで幕を閉じます。

9年後のふたり—「ビフォア・サンセット」

1作目の魅力にやられて、その日のうちに続編も観ました。
ふたりの別れから9年後。32歳になったふたりはパリの街で再会します。ジェシーは作家として書店に宣伝に来ており、そこにパリに移り住んでいたセリーヌが再会します。今回ふたりに与えられた時間は1作目よりさらに短い、飛行機が発つまでの1時間弱程度。

書店を出て、パリの街を気の向くままにお喋りをしながら歩くふたり。そこには相変わらず、9年の歳月を感じさせないほどテンポの良い会話が展開されますが、会話の中身は出会った頃より成熟された大人の話題が増えました。仕事やセックス、結婚などなど…。僕はまだ20代ですがそれらを聞いて共感出来る部分も多々ありました。出会った時の初々しさ、きらきらした空気感はなくなりましたが、落ち着いて洗練された大人の会話にはとても惹き付けられます。

あとはジェシーがセリーヌと居たいが為に運転手を振り回したり、あの手この手で時間を伸ばそうとする様子が必死で観ていて面白いです。
そして余韻を残す印象的なラストシーン…。77分と短い映画ですが濃い時間を過ごさせてくれます(ずーっと会話なので単純に情報量も多いですしね!)。

さらに9年後—「ビフォア・ミッドナイト」

前作からまたもや9年、出会いから18年後。今度のふたりはギリシャに居ます。
映画が始まってから10分くらいでしょうか、前作のラストからどういう未来に繋がったのかがわかります。そして9年の歳月で手に入れたものや失ったものなど、前2作に負けずにふたりのお喋りが展開される中で少しずつわかってきます。
会話の中身は41歳という年齢に沿った現実的な話題が多め。ロマンチックさよりも日々の暮らしや中年期の男女の機微などなど生々しい話題展開されます。

前2作と決定的に違うのは、ふたりだけの会話劇じゃない点でしょうか。今作はふたり意外にも多くの登場人物がおり、彼彼女らが展開する会話も聞き応えのあるものです。
印象的な言葉、はっとする言葉がたくさん出て来たのですが、次々と流れ出る台詞の奔流でしっかり覚えておくことが出来ませんでした。DVDが発売されたら、じっくりと鑑賞して好きな台詞を書き出したいなーなんて思っています。良い言葉は、しっかり覚えたい。

今作は出会いや再会で描かれた、恋の始まりや結果というよりは、その先にある愛情や生活、言ってしまえば続いて行く人生について考えさせられる場面が多くありました。恋愛映画ですが、付き合い立てや初々しいカップルにはハードルが高いかもしれません。現実的過ぎて、男女が生きて行く事に対して不安を抱くかも(笑)

男女の考え方や、気持ちの伝え方の違いもかなりくっきりとした輪郭を持って描かれています。あぁ、女性はこういう事に苛立つのか、ここに不満を感じるのか…などなど男には理解が難しい部分がリアルに描かれています。一緒に行った妻も、男性はこういうふうなモノの言い方や考え方をするのかーと面白がっていました。

あ、あとこの映画、観終わったあとに無性にお喋りがしたくなります。映画の感想はもちろん、映画の中で語られていたような普段は話さない深い話題や深い気持ちなどなど、ふたりでお喋りが止まりませんでした。感想が盛り上がる映画は、どういう内容にしろ良い映画だと思うわけです。

おまけ:この3部作のすごいところ

最後に、この映画のすごいところは1〜3部まで劇中で9年ずつ時間が経っているわけですが、なんとこれ実時間でも9年ごとに続編が作られているんです!
1作目「ビフォア・サンライズ」が1995年公開
2作目「ビフォア・サンセット」が2004年公開
3作目「ビフォア・ミッドナイト」が2013年公開(日本公開は2014年)

リアルに時間が経っているため俳優さんたちの年齢の取り方もすごくリアル(当たり前)で、なんだか実際にいる恋人たちの人生を追っているような気持ちになります。僕は一気に3部作を観てしまいましたが、これ1995年当時に観た方々は僕以上の感慨に浸れるのではないでしょうか。羨ましい。
ぜひともまた9年後、2022年に50歳になったふたりを観れることを期待します!

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