先日、福島県は只見町(ただみまち)というところに行って参りました。只見町は福島と新潟の県境に位置する山間にある農村です。
なぜかというと「Creative Summer Camp 〜若手クリエーターのための、地域のCMを作るプログラム〜」というCM制作のワークショップに参加したのです。参加したのは自分のためですが、やるからには地域の為になるCMを作らなければ。身が引き締まります。
今回は只見町で感じたことを整理する意味でも、体験を記事にしてみようと思います。
Creative Summer Campとは
こちらは3つの受け入れ地域の魅力をPRするCMを3人1組で作る夏のキャンププログラムです。「my Japan」という映像コンペを主催している団体が行っている企画で、今年が第一回目となります。
宮城県石巻市、福島県只見町、長野県長野市の3コースの中からひとつ選んで、受け入れ先を1泊2日で視察、その後2泊3日で撮影・編集を行うというプログラムになっています。
ちなみに僕が選んだ福島県只見町の場所は下記になります。
コシヒカリで有名な新潟県魚沼の隣です。この記事では視察を終えた感想を書いていきます。
只見線に乗って!
視察当日、僕らを乗せて新宿を出発したバスは、昼過ぎに新潟県小出駅に到着。この小さな駅から一日に数本しか走っていないローカル線「只見線」に乗って、いざ目的地へ。
二両編成のコンパクトな車両が、ガタゴトと小気味よいリズムを刻みながら山間を進んでいきます。既に夏本番の暑い日差しでしたが、開けた窓から吹き込む山風が心地よくて、昼寝が出来たらさぞ気持ちいいだろうなぁなんて事を考えました。
まさに“日本の夏休み”といった風情。車窓には田園風景が広がり、農作業をする方の姿もちらほら見れられます。青春18切符で乗るのが似合いそうな、情緒ある雰囲気でした。
只見町の様子
只見町に到着すると、僕らは運営の方に荷物を預けて町内散策へ繰り出しました。移動手段はレンタサイクル。チームメイトと三人で、気ままに町を見て回ること約40分。
まず率直な感想は、人を見かけない…!異常な人口密度の東京から出て来るとまずそこに驚かされます。ただ国道には結構よく車やバイクが走っていました。通り道なんでしょうか。
後で聞いた話では、只見のキャンプ場はライダーの方々には人気らしく、そういう方々はよく立ち寄るようです。
周りを山に囲まれ、大きな川も流れている只見の町並み。自然の麓に人間がお邪魔させてもらっているという印象を受けました。なんというか、自然に対して良い意味で謙虚さを感じます。
僕は東京の雑踏なんかより断然こっちの方が好きです。いいなぁ。好きな仕事で家族養って暮らして行けるならこういうところで暮らしたい…。
役所の方のお話
ただみ・ブナと川のミュージアムという、東京基準で見てもかなり展示が近代的でしっかりとした博物館で役所の方々に只見町についてのレクチャーをしていただきました。
こちら詳しい説明は省きますが、只見が抱える課題や展望、町の風習などについてお話を聞かせていただきました。只見町で以前から有名だったのはブナの原生林で、最近ではユネスコエコパークという自然と人間の共生地域を審査、認定するものに登録されたそうです。
個人的には只見を見て回って好きだなーと思いますが、漠然と広い意味での自然を推していっても他の地域との差別化が大変そうだなーなんてことを考えました。きっと僕らがCMを作る上で、そこを掘り下げるのが大切になっていきそうです。
ホームステイ先にて
一日のプログラムが終わると、ホームステイ先のお宅へ。こちら町の有志の方が受け入れてくださるため、失礼のないようにしなければと少し緊張感が上がりました。
お宅に関してはプライベートなので省きますが、すごく楽しい夜を過ごさせていただきました。なんといってもご飯が美味しい…!
お米はもちろん、朝採った新鮮な野菜に、直ぐそこの山から採った椎茸や山菜。買った野菜はほとんど無いらしい。
そしてなぜか村の名物に推されているマトン。町で羊を育てているわけではないらしいのに何故マトン…。でも美味しいからなんでもいいや!
旦那さんからお酒も勧められ、ワークショップ中にも関わらずふわふわした夜を過ごしちゃいました。最初の緊張感はどこへやらです。
そういえば、ご夫婦から聞いた話ではちょくちょく都会の若い人も移住してきているらしいとのこと。昼間役所の方から聞いた、多くの地方集落と同様に加速度的な少子高齢化が大変、という話とすこし食い違いました(まあご近所に数人引っ越して来る程度じゃ町全体から見たら焼け石に水なのかもしれませんが)。
高校生の地域留学プログラムなんかもやってるらしく、なんだか思ったよりも潜在的に若いパワーはあるんじゃないでしょうか。そういう外から来た人達の話しを聞いてみたいです。
田子倉湖畔をボートで巡りました
1晩明けて2日目の朝、参加者3コースの中から事前に選択した自分のコースに向かいます。コースは、山、川、農業体験の3つ。僕は川コースを選び、ダムが備えられている巨大な田子倉湖へ向かいました。
今回も地元の有志の方々に協力していただき(本当にありがとうございました!)、僕らは3つのボートに乗って湖畔の沢巡りへ。ボートはもちろん仕事でも使うそうですが、地元の方が山菜ポイントまで乗って行ったり、釣りをしたりと、生活に身近な湖なようでした。まあ、人によりけりで全く乗ったことのない町人もたくさんいるよとのことですが。
さて、川コースは想像外の景色に出会えました。この情報過多な時代に、想像外に会えるなんて滅多にないよなと、ひとりで感動してしまいました。
こちら何かというと、谷間に積もった雪が残っておりドーム上の屋根を形成しています。
写真だと伝わりませんが、湖上からこのエリアに近づくと急に空気が変わり肌寒くなるほどの冷気が漂っています。冬の豪雪が未だに残っていて、それが空気を冷やしているらしい。ドライアイスを想像してもらうとわかりやすいですが、冷気から出る白い霧が谷間から溢れ出ていて、非常に神秘的な光景を見る事ができました。
白い霧が漂う深い森って、ゲームや漫画に出て来るようなファンタジーか!?と一気にテンション上がってしまいました。
その他にもこの写真のような巨大な滝が直ぐ目の前に迫る沢登りなんかを体験して、すっかり圧倒されてしまった湖畔巡りでした。
ただ、今回のようなボート案内は観光としてやっていないそうなので個人的に旅行に来るのは無理なのが残念。紅葉の時期の湖上なんかは360度紅葉のパノラマらしいので凄く残念です。町の方と仲良くなればあるいは…とは思いますがあまり迷惑はかけられません。
こちらでの体験は個人的にはすごく魅力的な体験となりましたが、CMを作る上での訴求ポイントとして使っていいのかは難しいかもしれません。
恵みの森(ブナの原生林)へ
只見町の自然で最も有名であろう広大なブナの原生林にある恵みの森。インストラクターの方に案内してもらい、僕らも山の中へ。
都会から見ると町自体もかなり自然がある只見町ですが、このブナの原生林はレベルが違う。そこかしこに生き物の気配がします。見た事無い植物や昆虫、遊歩道の途中には獣の糞も落ちていて、まさに生きた森。沢にはホタルが沢山飛んでいて、インストラクターさんもしっかり熊除けの鈴を鳴らしながら進みます。あらゆる生き物の一生を抱えている場なんだと感じました。
こちらは熊のねぐらになっていたという木のうろ(?)です。中を覗いてみましたが意外と広く獣の家としては快適そう。
観光協会の方のお話しと帰路
最後に観光協会の方からも話を聞く事ができました。ここのキャンプ場は昔は日本一稼ぐキャンプ場だったとか、面白い話しに加えて、その方は一度外へ出て戻って来た方だそうで、外と比較した只見町の魅力についても聞くことが出来ました。
雪が降り積もった朝のしんとした静けさや、川から立ち上る朝霧。地元の方に町の魅力をお聞きすると、巡る四季を肌で感じられるという内容の言葉が多い気がしました。この辺り、CM作りのヒントになりそうです。
その後は、バスで温泉施設「湯ら里」に寄って昼食を取り、温泉で少し休んでから高速に乗って帰路につきました。参加者は学生も多かったので、帰りのバスはさながら修学旅行の帰り道のようにトランプや人狼ゲームで盛り上がり、それはそれでとても楽しい時間でした。社会人になるとそういったはしゃぎ方が出来る機会が激減してしまうのでホント楽しかった。
まとめ
振り返ってみると、途中からはあまり考えずにただただ町を楽しんでしまった二日間。
でもその分、只見のことを好きになれて、その気持ちはこれからCMを作る上で大きな原動力になるんじゃないかと思います。これから各チームがそれぞれに知恵を出し合い、アイディアを磨いて制作を進めていくわけですが、完成したCMたちが少しでも町のためになれば良いなと思います。…なんて他人事みたいに言うのはなしですね。力になれるよう僕も頑張ります。
ワークショップの経過はまた折に触れて、記事にしていく予定なのでまた次回!
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